トイレや台所などの水が流れなくなったり、家の周辺から悪臭が漂う場合は、排水桝につまりが生じている可能性が高いです。排水桝のつまりを解消するためには、定期的に掃除・メンテナンスを行う必要があります。
そこで本記事では、排水桝のつまりを解消する方法について、注意点なども含めて詳しく解説していきます。排水桝が詰まって困っている方は、ぜひ最後までご覧になってください。
目次
排水桝とは排水管同士を接続させる部品です。排水の中に含まれるゴミ・汚物を沈殿させて水のみを流していく役割があります。
家の中の排水管と道路側の排水管をつないだり、排水管の水の逆流を防ぐといった役割もあり、排水管を適切に機能させる重要な部品でもあります。また排水桝は排水管の点検口の役割も担います。水道業者は、排水管が詰まった際に排水桝の部分をチェックして、排水管につまりがないか確認していきます。
排水桝が設置されている位置は住宅の種類によって異なりますが、一戸建ての住宅の場合は住宅の敷地周りに設置されていることが多いです。敷地周りに白いフタがついた小さいマンホールのようなものがあれば、その部分が排水桝になります。
排水桝の材質は、「塩化ビニール製」のものが一般的です。以前はコンクリート製の排水桝が主流でしたが、コンクリート製は劣化によってひび割れが生じやすいため、劣化に比較的強い塩化ビニールが材料として使用されるようになりました。塩化ビニールはコンクリートより軽量である点も特徴です。排水桝の交換が必要な場合にも、交換作業の負担を抑えることができます。
排水桝がつまる原因として、主に下記の2つが挙げられます。
排水桝はその役割上、どうしてもゴミ・汚物が溜まってしまいます。排水に含まれるゴミ・汚物が排水桝に蓄積されてしまい、容量を超えると排水の流れを遮ってしまうのです。
そのまま放置しても、排水桝の中のゴミ・汚物がなくなることはありません。このため、排水桝に溜まったゴミ・汚物は定期的に処理をしていく必要があります。
食材のゴミ、異物などを台所から流してしまうと、排水桝がつまりやすい状態になります。台所から流した食材のゴミ・異物は、基本的に排水口のトラップで流れを止めることが可能です。
ただ、ゴミ・異物のサイズが小さくなると、トラップで止めるのが難しく、そのまま排水口を流れてしまいます。流れ出たゴミ・異物は排水桝に溜まっていきますが、排水桝に流れるゴミ・異物が多くなると、排水桝がつまる頻度も多くなってしまうでしょう。
排水桝は、種類・用途ごとに複数設置されています。排水桝の種類は、大きく分けて下記の3つです。
一般的に排水桝と呼ばれるものは「汚水桝」を指すことが多いです。汚水桝はトイレ・お風呂・キッチンなどの排水が流れていく桝になります。排水に含まれるゴミ・汚物が桝の中に沈殿して、水のみが下水に流れる仕組みになっています。
※本記事で解説する排水桝のつまりは、「汚水桝のつまり」になります。
雨水枡は、雨が降った際に雨樋から流れてくる雨水を留める桝になります。汚水桝と異なり、生活排水を留める桝ではありません。
雨水枡は、雨水をそのまま地面に浸透させる「浸透式」、排水管に繋いで下水に雨水を流す「非浸透式」の2種類に分かれています。
公共桝は、汚水桝・雨水枡を経由して流れてきた排水が合流する桝になります。公共桝を通って、最終的に下水道の本管に排水が流れていく形です。
後ほど詳しく解説しますが、公共桝は地方自治体の管轄になります。このため、公共桝でつまりなどのトラブルが生じた場合は、地方自治体が対応を行います。
排水桝のつまりを正確に確認するためには、実際に排水桝を点検する必要がありますが、下記の事象が生じた場合は排水桝のつまりを疑った方が良いでしょう。
排水桝がつまると、トイレや台所の水流れが悪くなります。つまりが酷くなると、水が全く流れなくなるケースも生じてくるため、日常生活にも支障が出てくるでしょう。
ただ、トイレ・台所の水流れは排水桝以外の部分が要因で悪くなることもあります。排水桝につまりがない場合は、排水管など他の部分も点検が必要です。
排水桝の周辺に汚物が溜まっている場合も、排水桝のつまりが生じている可能性が高いです。汚物が溜まってしまうと、悪臭の原因にもなります。悪臭によって周辺の住民から苦情を受けてしまうケースもあるので、早急な対処が必要です。
汚物が溜まっているかどうかは目で見て確認するしかないので、定期的に排水桝周辺を確認するようにしましょう。
ゴキブリ・蚊が以前よりも多くなった場合も、排水桝のつまりを疑いましょう。排水桝にゴミ・汚物が溜まることで、ゴキブリ・蚊などの害虫が増えてしまいます。排水桝のゴミ・汚物はゴキブリにとって格好の餌です。
またゴミ・汚物が溜まった場所には蚊の幼虫であるボウフラも発生しやすくなります。以前よりもゴキブリ・蚊が増えたと感じたら、排水桝がつまっていないか確認してみてください。
排水桝から水があふれたり、水を流した際にポコポコとした音が出る場合は、排水桝のつまりが生じている可能性があります。排水桝がつまった際は、つまりを早急に解消しなければなりません。排水桝のつまりを解消する方法として、下記の方法が挙げられます。
排水桝のつまりが軽度である場合は、自力でつまりを解消できます。
後ほど詳しく解説しますが、つまりを解消する際はスコップなどを使って原因となっているゴミ・汚物などを除去していきます。また高圧洗浄機を使ってゴミ・汚物を除去することも可能です。
ただし、排水桝にはトイレの汚物などが溜まっているため、悪臭が酷い可能性が高いです。自分でつまりを処理する場合は、悪臭に耐えながら作業する必要があります・
また高圧洗浄機を利用する場合は事前に購入する必要があります。高圧洗浄機は安価ではないので、購入費用を負担に感じてしまうかもしれません。
高圧洗浄機は正しく扱わないと、排水桝を損傷させてしまう可能性があります。機器の扱いに不安がある場合は、水道業者に依頼した方が良いでしょう。
つまりが生じている排水桝の位置が水道メーターよりも道路側にある場合は、水道局が無料で作業を行ってくれます。住宅の水道メーターよりも外側にある排水桝（公共桝）に関しては、水道局側の管轄になるため点検・作業を実施してくれる形です。
ただし、水道局は住宅の敷地内にある排水管・排水桝に関しては、各種点検・工事を行うことはありません。住宅側の排水桝を確認してつまりがない状態で、かつ道路側の排水桝につまりが生じている場合にのみ、水道局が対応してくれると認識しておきましょう。
自宅側の排水桝のつまりを自力で解消できない場合は、水道修理業者に依頼するのがおすすめです。業者に依頼すれば、排水桝のチェックからつまりの解消作業まですべて一括して請け負ってくれます。また作業に必要な高圧洗浄機、回転式ワイヤーブラシなどの各種器具も業者が用意してくれるので、自分で購入する必要もありません。
水道修理業者は排水桝のつまり解消など各種作業に精通しており、短時間で着実に作業を完了してくれます。このため、自分で労力をかけて作業するよりも費用対効果が高いと考えてよいでしょう。
自力で排水桝のつまりを解消する手順は、大まかに下記の流れになります。
① 排水桝のフタを開ける
② 排水桝に溜まったゴミ・汚物をスコップで取り出す
③ 家側の排水管にホースを差し込んで水を流す
④ 排水管から流れてきたゴミ・汚物を再度取り出す
まずは排水桝のフタを開けていきましょう。フタを開ける際はマイナスドライバーを使用します。フタの一部に溝がありますので、そのフタにマイナスドライバーを差し込んで、てこの要領でフタを浮かして開けていきます。
マイナスドライバーがない場合は、溝の入るサイズの頑丈な棒・板状のもので代用してください。
排水桝のフタを開けたら、排水桝に溜まったゴミ・汚物をスコップで取り出してゴミ袋に入れていきましょう。排水桝に溜まったゴミ・汚物は悪臭が酷いことが多いので、ゴミ袋は二重にしておくのがおすすめです。
またスコップを使うのに抵抗がある場合は、柄の長いひしゃくを利用しても良いでしょう。
ゴミ・汚物を取り出す際に、下水側の排水管のエルボ部分が邪魔な場合は、エルボを外してから作業しても問題ありません。ただし、エルボがなかなか外れない場合は無理に外そうとせず、付けたまま作業を行いましょう。
排水桝のゴミを一通り取り出したら、家側の排水管にホースを差し込んで水を流していきましょう。この際、水が排水管から溢れないようにタオルを使って隙間を埋めていきます。
排水桝には家側の排水管と下水側の排水管の2つがありますが、家側の排水管は上部に設置されています。
水を排水管に充満させたら、ホース・タオルを抜いて水を流してください。
排水管から水を流すと、管の中に溜まっていたゴミ・汚物が排水桝に流れてきます。流れてきたゴミ・汚物を再度スコップ等で取り出していきましょう。
これで排水桝のつまり解消の処理完了となります。
排水桝は定期的に自分で掃除をしても、どうしてもゴミ・汚物が底に溜まってきてしまいます。底に沈殿したゴミ・汚物が固まってしまうと、スコップ・ひしゃくなどでは取り切れない可能性が高いです。このため、定期的に水道修理業者からメンテナンスを受けた方が良いでしょう。
メンテナンスの頻度としては、少なくとも3年に1回以上の頻度が最適です。定期的に水道修理業者からメンテナンスを受ければ、高圧洗浄機などの専用器具を使った掃除も行ってもらえます。
築年数が10年以上の住宅の場合は、排水桝にゴミ・汚物が溜まるスピードが速い傾向にあります。このため、3年に1回の頻度よりも早いペースでメンテナンスを受けた方が良いでしょう。
排水桝のつまりの解消を水道修理業者に依頼する際は、下記のポイントを押さえるようにしましょう。
まずは問い合わせ時の対応が良いかどうか確認しましょう。問い合わせ時の対応が良い業者であれば、顧客のことを考えて対応してくれる業者である可能性が高いです。作業日程の設定から実際の作業開始までスムーズに進めてくれるでしょう。
反対に問い合わせ時の対応が悪い業者の場合は、工事開始までの対応にも問題がある可能性があります。すべての業者が該当する訳ではありませんが、相対的に対応の悪い業者は積極的に利用するべきではありません。少しでも対応に違和感があれば、別の業者へ依頼を検討した方が良いでしょう。
依頼候補先の業者が「水道局指定工事店」であるかどうかも要確認です。水道局指定工事店とは、「給水・排水装置工事が適切に行えるもの」として各自治体の水道事業者から認定を受けている業者を指します。水道局指定工事店に認定されている業者であれば、排水桝をはじめとした各種装置の清掃・工事などの技術レベルが担保されていると考えて問題ありません。
水道局指定工事店であるかどうかは、業者のホームページで確認できます。ホームページに「当社は水道局指定工事店です」などと記載されているかチェックしましょう。依頼候補先の業者がホームページを所有していない場合は、電話での問い合わせ時に指定工事店であるか確認してみてください。
依頼候補先の業者が排水桝以外の工事にも対応しているかどうかも要チェックです。トイレ・台所の水流れが悪い場合、まずは排水桝のつまりを疑うべきですが、排水桝につまりがない場合は別の箇所が原因でつまりが生じている可能性が高いです。
排水桝以外の工事にも幅広く対応している業者であれば、そのまま別部分の点検・工事まで依頼できます。別の業者を呼ぶとなると、問い合わせから見積り、依頼日の設定まで再度行わねばなりません。
排水桝以外の部分で問題がある場合に備えて、別部分の点検・工事も対応している業者に依頼するようにしましょう。
料金体系が明確であるかどうかもチェックポイントの一つです。料金体系が明確であれば、不明瞭な追加料金が発生する心配もありません。料金体系は業者の公式ホームページに記載されていることが多いですが、詳細な料金見積は問い合わせ時に実施する業者も少なくありません。
問い合わせを行った際に、どのような料金体系になっているか詳しく確認しておきましょう。もし料金体系に関して明確な回答をしてくれない業者であったら、別の業者に依頼した方が安心です。
参考として、料金体系の相場を下記にてまとめさせて頂きました。
| 作業内容 | 費用相場 |
| 排水桝の掃除 | 2,000円～3,000円 |
| 排水桝のつまり除去 | 8,000円～11,000円 |
| 排水桝の脱着工事 | 12,000円～15,000円 |
| 高圧洗浄機による除去作業 | 15,000円～45,000円 |
排水桝の掃除のみで作業が済む場合は、2,000円～3,000円ほどの費用で収まるケースが多いです。排水桝のつまり除去となると、費用は10,000円前後かかってきます。また高圧洗浄機を使った作業になると、通常の除去作業よりも費用が高くなる傾向にあります。
ただし、上記の費用はあくまでも目安です。実際の費用が業者によって変わってきます。上記の費用相場を参考にして頂き、業者が提示している料金体系を確認してみてください。
排水桝につまりが生じた場合は、早急につまりを解消する必要があります。つまりを放置してしまうと、トイレ・台所などの水流れが悪くなったり、排水桝から異臭が漂ってしまいます。軽度のつまりであれば、スコップを使って自力で排水桝のゴミ・汚物を取ることも可能です。
ただし、異臭が酷い場合だと自力で作業するのが困難なケースもあります。またゴミ・汚物が固まってしまい、スコップでは処理できないことも少なくありません。
排水桝のつまりを着実に解消したい場合は、専門業者に依頼するのがおすすめです。専門業者に依頼すれば、高圧洗浄機などの専門器具を利用して排水桝のつまりを処理してくれます。
また複数の排水桝をまとめて点検・清掃してくれるので、排水桝のメンテナンスを一気に完了させることが可能です。
本記事の内容を参考にして頂き、排水桝のつまりを解消してもらえると幸いです。
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