「マンション住まいなので排水管洗浄を自己判断で行っていいのかわからない」
「マンションの場合は排水管洗浄の費用は誰が負担するのかわからない」
このような理由で困っている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、マンションの排水管洗浄とは何かを解説します。また、排水管洗浄を行う際に知っておくべき実施する主体や費用負担者などのポイントもまとめました。マンションではとくに定期的な排水管洗浄が大切な理由や、水道業者に依頼する際の選び方も紹介するので参考にしてください。
目次
マンションの排水管洗浄とは、マンションの各住戸のキッチンや洗面台、洗濯機や浴室から出る生活排水を流す雑排水管を、高圧洗浄機などで清掃する作業です。
生活排水には、油脂や毛髪、食べ物のかけらなどが含まれ、蓄積すると詰まりや悪臭の原因になります。そのため、マンションでは年に1〜2回の定期的な洗浄が推奨されています。
マンションでは、各住戸の排水管から共用部分に合流する仕組みが一般的です。一部の排水管で悪臭や詰まりが発生すると、他の住戸にも影響を及ぼす可能性があります。マンション全体のトラブル防止のためにも、定期的な排水管洗浄を行うことが重要です。
マンションの排水管洗浄を行う主体や費用を負担する対象を紹介します。
それぞれ詳しく紹介します。
マンションの排水管洗浄は、一般的に管理会社や管理組合が主体で実施し、費用を負担するのが一般的です。排水管は共有部分と見なされるため、各住戸だけでなく建物全体の衛生と安全の維持に必要な定期メンテナンスの一環として行われます。
通常、管理費や修繕積立金から洗浄費用が賄われており、住民個別の費用負担は発生しません。管理会社や管理組合が信頼できる専門業者を選定し、年に一度もしくは数年に一度、計画的に排水管洗浄が行われます。
過失により排水管洗浄が必要になったのであれば、自己負担になるケースもあります。
たとえば、故意に異物を流したり、大量の油を流したりして、詰まりや悪臭、配管へのダメージが発生すると自己負担になるかもしれません。また、管理会社や管理組合が計画して実施するタイミングとは別に、自己都合で排水管洗浄を行う際も自己負担になるケースが一般的です。
マンションで排水管高圧洗浄する際の料金相場は48,000円〜60,000円程度です。実際にかかる費用は洗浄する排水管の場所や長さ、汚れや詰まりの程度、使用する機材・薬剤などによって異なります。
前述のとおり、一般的には管理会社や管理組合が負担することが一般的です。過失により自己負担になったら、まずは業者に見積もり依頼することをおすすめします。複数の水道業者から見積もりをとり、基本料金や作業料金などを比較して決めるとよいでしょう。
見積もり料金や出張料がかからない水道業者であれば、比較的費用を抑えられます。料金形態は業者によって異なるため、依頼する前によく確認することが大切です。
マンションの排水管洗浄は通常2年に1回程度の頻度で行われます。一般財団法人全国管洗浄協会の調査では、清掃周期は2年以内に1回が約95％です。
建築物環境衛生管理基準では、半年以内ごとに1回排水設備の清掃を行うように記載されています。ただし、排水管洗浄や清掃頻度に関して明記している法律はありません。排水管洗浄を行わなくても罰則の対象になりません。
前述のとおり、マンション全体で排水管洗浄しているのであれば、管理会社や管理組合が業者を手配してくれます。自分で個別に手配する必要はありませんが、排水管洗浄の実施頻度は管理会社や管理組合に委ねられます。
マンションで排水管洗浄が大切な理由は以下のとおりです。
それぞれ詳しく紹介します。
定期的な排水管洗浄は排水管の詰まり予防になります。台所や浴室、洗面所の排水はさまざまな汚れが流れ込みます。
台所は油や食べ物カス、浴室は髪の毛や石鹸カスなどが溜まりやすい場所です。排水管内部に異物が堆積すると、排水の流れを悪くし、最終的には詰まりを引き起こします。
定期的な排水管洗浄を行うと、汚れの蓄積を防ぎ、詰まりを予防できるでしょう。
定期的な排水管洗浄は悪臭や害虫の発生も防ぎます。排水管内の汚れは雑菌が繁殖し、悪臭を放つ原因の一つです。
また、油脂や食べ物カスが配管内で発酵し、強い臭いを放つことがあるので注意しましょう。
排水管内に溜まったぬめりは、ゴキブリやハエなどの栄養源となり、害虫の発生・繁殖につながります。定期的な排水管洗浄により、悪臭や害虫の発生を未然に防げるでしょう。
定期的な排水管洗浄は配管の劣化を防ぎます。排水管内に汚れが蓄積すると、排水管の腐食や劣化の原因にもなります。
たとえば、食用油や石鹸カスが固まると配管内部で酸化して配管を傷める可能性があります。
流れが悪くなり、水が詰まっている状態が続くと、サビや腐食が進みやすくなるかもしれません。最悪の場合、漏水の原因になることも考えられます。配管の劣化をさせないためにも、定期的な排水管洗浄により汚れの蓄積を防ぐことが重要です。
近隣トラブルの防止にも、定期的な排水管洗浄は重要です。マンションでは、一つの排水管が複数の住戸とつながっていることがほとんどです。
一つの住戸で詰まりが発生すると、他の住戸にも影響が及ぶケースがあります。たとえば、上階の詰まりが下階に影響を与え、予期せぬ漏水が発生することもあるでしょう。
詰まりが原因で逆流が発生して他の住人の部屋に水が流れ込み、被害の範囲が拡大するなど、さまざまなトラブルに発展します。近隣住民への被害や近隣トラブルを防ぐためにも、マンションでは定期的なお手入れが大切です。
マンションで排水管洗浄が行われる前に、以下の準備を行いましょう。
それぞれ詳しく紹介します。
排水管洗浄前は部屋を片付けておきましょう。とくに水道業者が排水管洗浄作業がしやすいように、排水管周りは綺麗にしておくことが大切です。
キッチンは食べかすや生ゴミを片付けておく、お風呂では髪の毛が絡まった排水口カバーは清掃しておくなど、各所清掃しておきましょう。玄関や部屋の整理整頓も同様です。
「部屋が汚いので恥ずかしい」との理由で拒否し、一斉清掃のタイミングを逃すと自己負担での清掃になるかもしれません。
洗濯機は嵩上げもしくは移動し、排水口が見えるようにしておきましょう。
排水口が隠れていると洗浄してもらえないことがあります。とくに洗濯機は下に排水口があり、隠れてしまいやすいため注意が必要です。大型のドラム式洗濯機や重量のある洗濯機が作業当日に動かせないと、洗浄できません。
自分で動かすことが難しいなら、管理会社や管理組合、業者に連絡し、作業時に対応してもらえるか聞いておくとよいでしょう。
マンションの排水管洗浄は当日不在なら拒否できます。マンションの排水管洗浄は、住人立ち会いのもと行われることが一般的です。住人の同意なしに勝手に行われることは基本的にありません。
ただし、管理規約に「住戸内への立ち入りを拒否できない」と明記しているケースもあるため、事前に確認することが大切です。どうしても立ち会えないなら、不在の理由を伝えることで日程の調整や再訪問を依頼できるかもしれません。
紹介したとおり、マンションでは排水管洗浄を怠ると悪臭や詰まりなどにより他の住民にも影響が及ぶ可能性もあります。やむを得ない理由ではなく、「部屋が汚いので、入られるのが恥ずかしい」などの理由で長期間拒否しつづけることはおすすめしません。
排水管洗浄にかかる時間も1部屋あたり10分〜15分ほどです。それほど時間はとられません。どうしても都合が合わないなら、管理会社に合鍵を渡して、第三者に立ち会ってもらうのも選択肢の一つです。立ち会いをお願いできないか確認してみましょう。
自分でも排水管洗浄は行えるますが、おすすめはしません。自分で行うと、以下のようなデメリットやリスクがあります。
市販のパイプクリーナーを使い、軽いぬめりや汚れを落としたりすることは比較的簡単にできます。ただし、これは一時的な処置です。排水管の奥深くや強い汚れを取り除くのは難しいでしょう。安心安全かつ綺麗に排水管洗浄するなら、プロに任せることをおすすめします。
なお、マンションは専用部分と共用部分に分けられ、責任の範囲が異なります。共有部分は管理会社や管理組合が管理するべき部分です。共用部分の排水管が原因で詰まりや異臭が発生しているなら、自分で排水管洗浄を行う必要はありません。管理会社や管理組合に連絡しましょう。
また、高圧洗浄機や強力な洗浄剤を使用する際には近隣住民への配慮も大切です。音や匂いが不快に感じられることもあります。トラブルを避けるため、排水管洗浄前に近隣住民に作業音や匂いが伝わる可能性があることを伝え、了承を得ておくと安心です。
マンションの排水管の洗浄をどうしても自分で行いたい場合、以下の方法があります。
軽微な汚れであれば、お湯や市販のクリーナー、ワイヤーブラシなどを使用して落とせるかもしれません。しつこい汚れになると、専門的な薬剤や高圧洗浄機が必要になります。配管を痛めたり、破損させるケースもあるため、専門的な知識や慣れない作業であれば水道業者に依頼しましょう。
なお、配管の清掃方法は以下の記事でも詳しく紹介しています。自分で排水管洗浄を行う方は参考にしてください。
関連記事：一戸建ての排水管洗浄を自分でやるには？洗う方法を場所ごとに解説
マンションの排水管洗浄を自分で行う際には、以下の点に注意してください。
ポリ塩化ビニル製やプラスチック製の排水管は、熱湯を流すと高温で変形する恐れがあります。お湯を使用する場合は50℃から60℃に留めておくのが無難です。
また、配管は複雑な形状をしています。ワイヤーブラシは奥まで突っ込むと詰まる可能性があるので注意しましょう。
自分で清掃することが難しいと感じたら、無理に続けず水道業者に依頼してください。トラブルが発生すると、依頼した際の修理費用も高額になります。安心・安全に排水管洗浄を行いたいなら、水道業者への依頼をおすすめします。
マンションの排水管洗浄を依頼する水道業者を自分で選ぶなら、以下の点に注目して選びましょう。
マンションの排水管洗浄を依頼する際には、水道局指定業者を選ぶことが大切です。水道局指定業者は、一定の基準を満たしていることを意味するため、高い技術力や信頼性を期待できます。
ただし、水道局指定業者だからといって完全に安心できるわけではありません。料金設定が不明瞭な水道業者を利用すると、思わぬトラブルにつながる恐れがあります。料金が適正かつ明確に提示されている業者を選びましょう。
また、住んでいるエリアに対応している業者を選ぶことで、緊急時に迅速な対応が期待できます。アフターサポートが充実している業者であれば、作業後にトラブルが発生しても対応してくれるため安心です。上記の内容や実際に利用したことがある人の口コミや評判を参考にし、総合的に信頼できる業者を選びましょう。
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マンションで排水管の詰まりや異臭が発生すると、近隣住民にも迷惑がかかります。排水管洗浄は詰まり・異臭・害虫の発生予防につながるため、定期的に行うことが大切です。マンションの排水管洗浄は基本的に管理会社や管理組合が主体で行います。費用負担も管理費から賄われることが一般的です。
もし過失により排水管洗浄が必要な場合は自己負担になるケースもあります。もし自己負担で排水管洗浄を行うなら、業者選びも自分で行わなければなりません。
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